「また卒業か……」
ホロライブのファンなら、2024年後半から2025年にかけて、何度この言葉を心の中でつぶやいたことでしょう。
推しの配信を楽しみにしていた日常が、ある日突然「大切なお知らせ」の4文字で一変する。
湊あくあ、沙花叉クロヱ、紫咲シオン、がうる・ぐら、天音かなた…
ホロライブからの卒業が相次ぎ、SNSでは「卒業ラッシュ」という言葉がトレンド入り。
「ホロライブは大丈夫なのか?」という不安の声が絶えませんでしたね。
この記事では、「ホロライブの卒業はなぜこんなに多いのか?」という疑問について考察しているので、お話させてください!
ホロライブで卒業が多いと言われる理由5選
まず最初に、みなさんが一番知りたいであろう「なぜ卒業が多いのか」という核心部分からいきましょう。
①「方向性の違い」——最も多く語られる卒業理由
2024年以降に卒業したメンバーの多くが、理由として挙げたのが「会社との方向性の違い」です。
湊あくあ、紫咲シオン、沙花叉クロヱ、セレス・ファウナ、がうる・ぐら、七詩ムメイ
ほぼ全員がこの言葉を使っています。
正直、最近は「また方向性の違いか……」と思うくらいですよね。
芸能界でよく使われるお決まりのフレーズに聞こえてしまいます。
でも、これだけ多くのメンバーが同じ言葉を使うということは、そこには確実に構造的な問題があるはずです。
では「方向性の違い」とは具体的に何なのでしょうか?
紫咲シオンは卒業発表の配信で、「ずっとあった方向性の違いがさらにどんどん大きくなっていった」と率直に語っていました。
彼女は2期生として2018年からホロライブを見てきたベテランです。
つまり、彼女が一番好きだった頃のホロライブと、今のホロライブは大きく変わってしまったということなのでしょう。
ホロライブが嫌いで辞めるわけじゃない。好きだからこそ、変わっていく姿との間に生まれるギャップが耐えられなくなってしまうんだと思います。
②事務所の急成長と「アイドル路線」への転換
ホロライブを運営するカバー株式会社は、2023年3月に東証グロース市場に上場しました。これは大きな転機です。
上場企業になるということは、株主に対して利益を出し続ける責任が生まれるということですよね。
当然、事業の多角化が進みます。ホロライブEXPOのような大規模イベント、3Dライブ、企業タイアップ、カードゲーム、音楽制作…ビジネスとしてはどんどん広がっていきました。
しかし、その拡大はタレント側の負担増に直結します。
紫咲シオンは「稼働量が増えたこと」を具体的に挙げていました。
昔は自由に配信できていたのが、ライブのリハーサル、企業案件の打ち合わせ、グッズ関連の作業など、やることが激増したんですね。
星街すいせいも配信の中で「リスナーからしたら配信をしない日が休みに見えるかもしれないけど、配信以外の仕事がたくさんある」と話していました。
つまり、ファンから見えている部分は氷山の一角に過ぎないということですね。
個人的な意見を言わせてもらえば、「配信でファンと楽しく過ごしたい」というシンプルな動機で入ってきた人にとって、アイドル・エンタメ企業としての業務をこなし続けるのは、かなりしんどいだろうと思います。
やりたいこととやらされることのバランスが崩れたとき、人は心が折れてしまいます。
それはVTuberに限った話ではないのですし、外から見えないとなると尚更かもしれません。
③心身の限界——過労と健康問題
沙花叉クロヱの事例は特に衝撃的でした。
彼女は卒業(配信活動終了)にあたって、「稼働量が多すぎて通院が必要なレベルで体調を崩した」ことを明かしています。
もともとロングスリーパーだったこともあり、ハードなスケジュールとの相性は最悪だったのではないでしょうか。
さらに、天音かなたは2025年12月の卒業にあたり、「想定を大きく超える業務負荷による心身の不調」をはっきりと理由に挙げました。

さらに耳の持病も抱えていたことが知られています。
彼女の場合、卒業声明でかなり具体的に語っていたのが印象的で、「彼氏ができた」「結婚」「燃え尽き症候群」などではないと明言し、転生の予定もないと宣言しました。

ここまで誠実に語ったメンバーは珍しいですよね。
七詩ムメイも、会社との意見不一致に加えて、2年以上にわたる喉の持病(喘息症状)に悩まされていたことを告白しています。
声を使う仕事で喉を壊すことのつらさは、想像を絶するものがあります。
火威青に至っては、適応障害の診断を受けての卒業でした。復帰を目指していたものの、心身の健康を最優先した結果の決断です。

こうしたケースを並べると、「VTuberの仕事って想像以上に激務なんだ」ということを痛感させられます。
配信、歌収録、ダンスレッスン、イベント出演、グッズ関連、ファンサービス…
これらを長期間にわたって続けることの負担は計り知れません。
④長期活動ゆえのライフステージの変化
見落とされがちですが、重要なポイントがあります。
最近卒業したメンバーの多くは、活動期間が3年から7年に及ぶベテランだということです。
VTuber業界は変化が激しく、3年以上活動を続けること自体がかなりすごいことです。
その間に、本人の年齢も当然上がります。
20代前半で始めた活動が、気づけば20代後半から30代に差し掛かっている。ライフステージが変わる時期ですよね。
一般企業でも、入社3〜5年目は転職を考える人が増える時期でしょう。
それと同じように、「このままでいいのか」「もっと別のことをしたいのでは」と自問自答する時期が来るのは自然なことです。
⑤SNSでの誹謗中傷やプライバシー侵害
直接的な卒業理由としてはあまり語られませんが、ネット上の誹謗中傷が精神的な負担になっていることは間違いないでしょう。
VTuberは匿名のアバターで活動しているとはいえ、その裏には生身の人間がいます。
風真いろは(6期生)が3周年記念配信で心因性の発声障害を発症したエピソードは、その深刻さを象徴しています。
彼女自身は「仲間の卒業のせいではない」「誰も悪くない」と語っていましたが、仲間が次々と去っていく状況が精神的にきつくないわけがありませんよね。
こうした要因が複合的に重なった結果が、いわゆる「卒業ラッシュ」なのだと思います。
ホロライブ卒業メンバー一覧と時系列まとめ【データで見る実態】
感覚的に「卒業が多い」と感じるのは自然なことですが、実際のデータを見てみましょう。
以下はホロライブ(JP・EN・ID含む、ホロスターズ除く)の主な卒業・契約解除・配信活動終了のメンバーを時系列でまとめたものです。
| 年 | メンバー名 | 区分 | 主な理由 |
|---|---|---|---|
| 2018年 | 人見クリス | 契約解除 | 関係者間トラブル |
| 2020年 | 魔乃アロエ | 卒業 | 情報漏洩による炎上 |
| 2020年 | ホロライブCN全6名 | 卒業 | 中国を巡るトラブル |
| 2021年 | 桐生ココ | 卒業 | 中国関連問題(推定) |
| 2022年 | 潤羽るしあ | 契約解除 | 情報漏洩・契約違反 |
| 2022年 | 九十九佐命 | 卒業 | 腰の不調 |
| 2024年 | 夜空メル | 契約解除 | 情報漏洩 |
| 2024年 | 湊あくあ | 卒業 | 方向性の違い |
| 2024年 | ワトソン・アメリア | 配信活動終了 | 方向性の違い |
| 2025年1月 | セレス・ファウナ | 卒業 | 方向性の違い |
| 2025年1月 | 沙花叉クロヱ | 配信活動終了 | 方向性の違い・体調不良 |
| 2025年4月 | 紫咲シオン | 卒業 | 方向性の違い |
| 2025年4月 | 七詩ムメイ | 卒業 | 意見不一致・持病 |
| 2025年5月 | がうる・ぐら | 卒業 | 方向性の違い |
| 2025年9月 | 春先のどか | 卒業 | 進路の見直し |
| 2025年10月 | 火威青 | 卒業 | 適応障害 |
| 2025年12月 | 天音かなた | 卒業 | 業務過多による心身不調 |
こうして並べてみると、2019年と2023年には卒業者がゼロだったことがわかります。
つまり、常に卒業が続いていたわけではなく、特に2024年8月の湊あくあを起点として一気に加速したんですね。
ある分析記事では、2024年8月の湊あくあの卒業までは「ホロライブを辞めたくて辞めた人」は実はほとんどいなかったと指摘されています。
人見クリスと潤羽るしあは契約解除(本人の意思ではない)、魔乃アロエは炎上による事実上の追い込み、桐生ココは中国問題という外的要因が大きかったんです。
つまり、「自分の意思で、自分のために辞める」という選択をする人が急増したのは、ここ1〜2年の現象なんですね。
そしてその大半が「方向性の違い」を理由に挙げています。
これは偶然ではなく、構造的な問題のサインだと個人的には考えています。
「卒業」と「配信活動終了」の違い
ここで一つ補足しておきたいのが、ホロライブ独自の制度である「配信活動終了」についてです。
卒業は、事務所でのすべての活動を終了すること。完全にホロライブから離れます。SNSアカウントやアーカイブは残されることが多いです。
配信活動終了は、YouTube配信やSNS投稿、イベント出演といった「定常的な活動」を終了しますが、事務所には引き続き在籍するという形式です。カバー株式会社は公式noteで「今後も限定的な形であれば、活動の可能性がある」と説明しています。
ファンの不安を少しでも和らげるために作られた新しい形ですが、正直なところ「じゃあ実質的にどう違うの?」という疑問は残りますよね。穿った見方をすれば、在籍し続けることでグッズ販売などのIPビジネスを継続できるという側面もあるかもしれません。
ワトソン・アメリアや沙花叉クロヱがこの形式を取りましたが、ファンとしてはやはり「いつか戻ってきてくれるかも」という希望を持ちたいところです。
他の事務所と比較してホロライブの卒業率は本当に高いのか?
「ホロライブだけ卒業が多い」
そんな印象を持っている人も多いかもしれません。しかし、実際のところはどうなのでしょうか?
にじさんじとの比較
同じ大手VTuber事務所であるにじさんじと比較してみましょう。
ある時点でのデータでは、にじさんじ(日本のみ、契約解除除く)は165人中27人が卒業(約16.4%)、ホロライブ(日本のみ、契約解除除く)は50人中8人が卒業(約16%)と、卒業率自体はほぼ同じという分析があります。
にじさんじは2026年時点で約150名のライバーが在籍しており、累計の卒業者は78名にも上ります(海外勢含む)。年間で海外含め20人ほど卒業する年もありました。

つまり、絶対数でいえばにじさんじの方が圧倒的に卒業者は多いんですね。
では、なぜホロライブの方が目立つのでしょうか?
理由はシンプルです。ホロライブは少数精鋭で、一人ひとりのチャンネル登録者数が非常に多いんです。にじさんじが150名以上の大所帯であるのに対し、ホロライブは海外勢を含めても70名程度。しかも登録者50万人〜100万人超えがざらにいます。
所属人数が約2倍違うのに、直近1年の卒業人数に大きな差がないとなると、割合としてはホロライブの方がインパクトが大きく感じられるのは当然ですよね。
しかも、がうる・ぐらのようにYouTubeチャンネル登録者数世界一のVTuberが卒業するとなれば、ニュースバリューが桁違いに大きくなります。
VTuber業界全体の傾向
2024年だけでホロライブ・にじさんじ・個人勢を含む50人以上が卒業・転生を経験したというデータもあります。VTuber業界全体として、卒業や転生は「特別な出来事」から「身近な現象」に変わりつつあるんですね。
個人勢のVTuberに至っては、引退率はもっと高いです。事務所のサポートなしに活動を続けることの難しさを考えれば、むしろ事務所所属のVTuberの方が長く活動を続けられている面もあります。
つまり、「ホロライブだけが異常に卒業が多い」というのは、データ上は必ずしも正しくないんです。ただし、2024年後半からの「人気メンバーが連続して方向性の違いで卒業する」という現象は、やはりホロライブ特有の問題が存在していることを示唆しています。
卒業したメンバーのその後:転生・個人活動の実態
卒業の話ばかりだと気が滅入ってしまいますので、ここからは少し前向きな話をしていきましょう。
卒業したメンバーのその後についてです。
「転生」とは何か?
VTuber界隈でいう「転生」とは、事務所を卒業した後に、新しいキャラクター・名前で配信活動を再開することを指します。
公式にアナウンスされることはほとんどなく、声質や配信内容、活動開始のタイミングなどからファンが「察する」のが一般的です。

卒業後も活躍を続ける元メンバーたち
卒業=引退ではありません。実際、多くの元ホロメンが卒業後も精力的に活動を続けています。
最も有名な例は桐生ココでしょう。2021年に卒業した後、ksonとして個人活動を開始しました。現在もVTuber・配信者として大きな存在感を示しています。ホロライブ時代の「あさココLIVE」で培ったトーク力は健在で、ファンとの交流を大切にしながら自分のスタイルで配信を続けていますね。
湊あくあも卒業後に結城さくなとして新たなスタートを切りました。ゲーム実況や歌で高い評価を受けていた彼女の才能は、看板が変わっても変わりません。
沙花叉クロヱは配信活動終了後に雨海ルカとして活動を始めています。
こうした事例を見ると、ホロライブでの経験は決して無駄にならないということがわかります。むしろ、ホロライブで培った技術、ファンベース、経験値は、卒業後の活動において大きなアドバンテージになっているんですね。
ただし全員が転生するわけではありません。天音かなたは卒業時に「転生の予定はない」と明言しました。七詩ムメイも、喉の持病があることから転生先は見つかっていません。それぞれの事情に合った選択をしているんです。
ファンにとっての「転生」
正直に言うと、転生に対する感情は複雑です。推しの新しい姿を見られる喜びがある一方で、「ホロライブでの姿はもういない」という喪失感は消えません。
でも個人的には、推しが元気で活動を続けてくれているなら、それが一番嬉しいと思っています。
名前やガワ(外見)が変わっても、その人の魅力は変わりません。
新しいステージで輝く姿を応援できるのは、ファンとしての幸せだと思いたいですね。
ファンとして卒業とどう向き合うか【推し活を前向きに続けるために】
最後に、一人のVTuberファンとして、卒業との向き合い方について思うことを書いておきたいと思います。
カバー株式会社の対応と今後
2025年3月、相次ぐ卒業ラッシュを受けて、カバー株式会社CEO谷郷元昭氏(通称YAGOO)が異例の声明を出しました。
「卒業に関するお知らせが続き、皆さまにご心配をおかけしていることを真摯に受け止めております」「私たちもタレントの旅立ちを見送るたびに、皆さまと同じように寂しさを感じています」
この言葉は、ファンの不安に対する誠実な応答だったのではないでしょうか。
また、タレントが才能を最大限に発揮できる環境づくりとして、EXPOや3Dライブ、企業タイアップ、音楽制作など多方面からの支援を行っていると説明しています。
ファンの中からは「配信中心のクリエイター部門と、イベント・音楽重視のアーティスト部門を分けてはどうか」という提案も出ています。
これは実に的を射た意見だと思います。
全員に同じ活動を求めるのではなく、個々の適性や希望に合わせた柔軟な運営ができれば、「方向性の違い」による卒業は減るかもしれませんね。
星街すいせいの言葉
卒業ラッシュの渦中で、星街すいせいが配信で語った言葉は印象深いものでした。
彼女は「信じたいものを信じればいい」と語りかけました。
ネット上には様々な憶測や噂が飛び交いますが、表面的な情報に振り回されるのではなく、信じたい人の言葉を大事にしてほしいと。
さらに、彼女自身も運営との間で方向性の違いを感じたことがあると正直に認めた上で、「その違いを受け入れる理由があるなら活動を続けていけるし、そうでなければ辞める選択をする。
それはそれぞれの自由」と冷静に語っています。
この言葉には、ホロライブの内側にいる人間のリアルが詰まっていると思います。
全員が同じ気持ちで活動しているわけではありません。
でも、残っている人には残っている人なりの覚悟と理由があるんです。
推しの卒業を受け止めるということ
推しの卒業は、大げさでなく「失恋」に近い感覚ですよね。
毎日のように配信を見て、スパチャを送って、グッズを集めて、ライブで盛り上がって…
そうやって積み上げてきた日々が、ある日を境に終わってしまいます。
でも、終わるのは「今の形」であって、そこにあった思い出や感動は消えません。
アーカイブは残りますし、SNSも残ることが多いです。いつでも振り返ることができます。
そして何より、卒業したメンバー自身が前を向いています。
「方向性の違い」は、裏を返せば「自分のやりたいことが明確になった」ということでもあります。
新しい道を選んだ彼女たちの決断を尊重し、応援することが、ファンとしてできる最善のことなのだと思います。
今いるメンバーを大切に
兎田ぺこら、宝鐘マリン、星街すいせい、白上フブキ、さくらみこ…
今もホロライブの第一線で活躍するメンバーは数多くいます。彼女たちが残ってくれていることは、決して当たり前のことではありません。
卒業ラッシュに心を痛めるのは自然なことですが、今いるメンバーの配信を楽しむこと、新しくデビューするメンバーに目を向けること。
それが、ホロライブという文化を支え続ける一番の方法だと思います。
さくらみこを叩いて炎上させてる場合じゃないんですよ。
まとめ:卒業が多い理由を理解した上で、前を向いていきましょう
改めて整理すると、ホロライブの卒業が多いとされる背景には以下の要因があります。
事務所の急成長と上場による業務拡大が、タレント個人の「やりたいこと」との齟齬を生んでいます。ライブ、イベント、企業案件の増加により、配信中心で活動したいメンバーにとっては負担が大きくなりました。
長期活動による心身の疲弊も見逃せません。3年〜7年という長い活動の中で、健康問題やメンタルの不調を抱えるメンバーが増えています。
業界全体の成熟に伴い、VTuberの「転職」や「独立」が一般化しつつあります。ホロライブで得た経験を活かして、自分の道を歩む選択肢が現実的になりました。
ただし、データで見ればホロライブの卒業率は業界平均と大差ありません。少数精鋭で一人ひとりの知名度が高いために、卒業の衝撃が大きく感じられる面があります。
最後にもう一度お伝えしたいのは、卒業はゴールではなく、新しいスタートだということです。去っていったメンバーの未来を応援しつつ、今のホロライブを楽しむ。その両立ができてこそ、本当の「推し活」なんじゃないかなと思います。
この記事が、卒業に心を痛めているあなたの気持ちを少しでも軽くできたなら幸いです。


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